放置した空き家の維持費に1,800万円!?松本明子さんが語る「おうちじまい」のリアル

空き家問題は、決して他人事ではありません。

親から受け継いだ実家をどうするか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実際に、タレントの松本明子さんも、実家を25年間放置した結果、なんと合計1,800万円もの維持費がかかってしまったそうです。

この体験を赤裸々に綴ったのが、松本さんの著書
実家じまい終わらせました! ――大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』です。
今回は、その内容をもとに、松本さんの「空き家じまい」の実録をご紹介いたします。

6歳の頃に建てた思い出の実家
松本さんの実家は、香川県高松市の郊外にある立派な木造住宅。
父親が宮大工に依頼したこだわりの家で、庭には石灯籠も置かれていました。

ところが、松本さんが27歳のときに両親を東京に呼び寄せて同居することになり、実家は空き家に。
「いずれ高松に戻るつもり」と思っていた両親も亡くなり、気づけば実家は20年以上放置されてしまったのです。

手放せなかった理由
すぐに売却しなかったのは、亡くなった父親から「実家を頼む」と言い残されたこと、さらに、当時は育児に追われて実家のことまで手が回らなかったことが理由でした。

大事な家だからこそ、簡単には手放せなかった」という気持ちは、多くの人が共感できる部分かもしれません。

空き家に大金を注ぎ込む現実
とはいえ、住んでいない家にもお金はかかります。
放置するわけにもいかず、松本さんは定期的に庭の手入れなどにお金をかけてきました。

さらに、固定資産税や光熱費、火災保険、地元シルバー人材への管理委託費など、毎年数十万円の出費が続きます。

衝撃の査定結果
「このまま残すと息子に迷惑をかける」と決意し、ついに売却を検討。
地元不動産会社に査定を依頼したところ、建物の価値は、まさかのゼロ円。
土地もわずか200万円という現実を突きつけられました。

さらに、「更地にすれば売りやすいが、解体費用は500万円」とのこと。
思い出の詰まった石灯籠や庭石が、解体費を押し上げる要因になっていたのです。

「空き家バンク」でようやく売却成立
解体せずに、合計600万円かけてリフォームを行い、築45年の家を「空き家バンク」に登録。
すると3ヶ月後、ついに買い手が見つかりましたが、売却した金額は600万円

すぐに家の中を片付ける必要があり、大型トラックを手配して片付け費用は10万円。
それでも、ようやく肩の荷が下りたと松本さんはホッとしたそうです。

合計1,200万円の大赤字
実家を手放すまでにかかった維持費を計算してみると、なんと合計1,800万円!
なんとか売却することができましたが、1,200万円もの大赤字です。
節約家で知られる松本さんにとっても、これは「痛恨の極み」だったと語っています。

「親が元気なうちに話し合う」が大切
松本さんは「親が元気なうちは相続の話はしにくいもの。でも早めに話し合っておくことが、結局は一番の親孝行」と痛感したそうです。

空き家を抱えている人は、すぐに対処してください。放置すればするほど、負担が大きくなります。
私のように大赤字にならないために、実家じまいは早めに考えることが大事です」と、強く呼びかけています。

売却前にかかった費用の概算

項目 金額 回数/年 年数 備考
固定資産税 80,000円 1 25
電気代(母屋) 3,800円 12 25
電気代(離れ) 2,900円 12 25
水道代 2,100円 6 25
ガス代 0円 0 0 空き家期間は止めていた
火災保険 100,000円 1 25 地震保険込み
シルバー人材委託料 50,000円 2 20 庭木の手入れなど
リフォーム費用(1回目) 3,500,000円 1 0 水回り・床・壁・エアコン・カーテン・棚
リフォーム費用(2回目) 2,500,000円 1 0 ユニットバス・フローリング・電気設備
交通費(定期的に) 60,000円 3 10 単価は往復の代金
宿泊費(定期的に) 10,000円 3 10 ボイラー故障で実家に宿泊できなかった
ゴミ出し(大型トラック) 100,000円 10 0
合計費用 17,925,000円

(スクロールして表が見れます→)
以上が、空き家を引き継いでから手放すまでにかかった総額の費用です。

この本は、松本さんが実体験をもとに、「空き家を持つリスク」「親と子で話し合う重要性」をわかりやすく伝えてくれます。

「うちもそろそろ考えなきゃ」と思った方に、共感できる内容がとても多いので、ぜひ一度手に取って読んでみてください。


『実家じまい終わらせました!』
著者:松本明子
出版社:中央公論新社
AMAZON:ブックストア

【本の概要】
この本は、タレントの松本明子さんが、自らの経験をもとに「実家じまい」と「墓じまい」に取り組んだ実録エッセイです。
親が亡くなった後に発覚した空き家の放置、不要な家財道具の山、お墓の管理など、避けて通れない問題に直面し、試行錯誤しながら専門家の助けを借りて「実家じまい」を完了させるまでを赤裸々に綴っています。

【ポイント・要点】
① 気づいたら大赤字になってしまった実家じまい
・松本さんの実家は香川県高松市にあり、20年以上空き家状態。
・放置していたことで固定資産税や管理費が膨れ上がり、大赤字に。
・古い不動産を売る難しさ、遠方に住んでいるため管理も難しいという「実家あるある」に直面。

② 実家じまいのリアルな苦労
・親が残した大量の荷物の処分。
・近所トラブル、相続手続き、草刈りなど「実家放置のリスク」を痛感。
・空き家バンクや地元の不動産業者とも交渉し、最終的にリフォームして売却できたが大きな損失。

③ お墓じまいにも挑戦
・実家の墓は香川県にあり、東京に住む松本さんには管理が困難。
・墓の継承者問題や、親族との調整にも苦労。
・最終的に永代供養に切り替え、お墓じまいも完了。

④ 専門家に学んだ「しまい方」の知恵
・遺品整理業者の選び方 ・相続登記の重要性(2024年から義務化)。
・墓じまいをスムーズに進めるコツ。
・親が元気なうちにエンディングノートや実家の資産状況を確認しておく重要性。

⑤ 実家じまいは「親が元気なうちに始める」が鉄則
・親が生きているうちに「何を残すか」「何を処分するか」を話し合う。
・実家の名義やローン、負債の有無を把握しておく。
・感情的になりすぎず、冷静に判断するために専門家を頼ることがカギ。

【この本のメッセージ】
「実家じまい」「墓じまい」は他人事ではなく、誰もが直面する現実。
「見て見ぬふり」ではなく、親と一緒に考える時間をつくることが、後悔しないための第一歩だと伝えています。

【こんな人におすすめ】
✅ 実家が遠方にある
✅ 空き家問題に悩んでいる
✅ 親の終活が気になっている
✅ 実家じまいや墓じまいのリアルな体験談を知りたい

おうちじまいには、思っていた以上に費用も労力もかかるものです。
しかし、事前にかかる費用の目安や流れを知っておくことで、無駄な出費を防ぎ、スムーズに進めることができます。
これからおうちじまいを考える方の参考になれば幸いです。

また、空き家所有者の方々の「空き家をどうにかしたい。」という思いに寄り添い、問題を解決する空き家再生士を全国に増やすために、空き家再生協会では毎月勉強会を開催しています。

空き家に関する正しい知識や活用方法を学ぶ場として、ぜひお気軽にご参加ください。
▶ 空き家再生協会のご案内はこちら:https://akiyasaisei.jp/about

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