遺品整理・生前整理が空き家対策の第一歩になる理由


──「片付け」から始まる再生の循環

日本の空き家数は900万戸を超え、空き家率も過去最高水準に達しています。
空き家問題は「老朽化した建物」の問題として語られがちですが、その発生の入口には、実は“片付け”の問題が存在しています。

親が亡くなった後、家財が残ったままの実家。
相続はしたものの、遠方で管理ができない。
整理が進まず、売却も活用もできないまま時間だけが過ぎていく。
こうして住まいは、活用可能な資産から「動かせない空き家」へと変わっていきます。

高齢化と単身化が生む“片付けの空白”

高齢化率は約29%。今後は単独世帯がさらに増加し、家族が近くにいない高齢者が増えていきます。
これまで家族が自然に担ってきた遺品整理は、社会構造の変化により“担い手不在”の状態が生まれつつあります。

その結果、家財が大量に残置された住宅、活用判断が先送りされた実家、管理されないまま固定化した空き家が地域に蓄積していきます。

空き家問題は、建物の問題である前に、整理と意思決定が止まっている問題でもあるのです。

残置物が住宅流通を止める家財が残された状態では、
「売却や賃貸の内見が難しい」
「解体・リフォームの判断ができない」
「相続人同士の協議が進まない」
といった状況が起こりやすくなります。

つまり、遺品整理や生前整理は単なる作業ではなく、
住宅を再び地域に流通させるための前提条件でもあります。

空き家再生協会が掲げる「再生」「流通促進」「地域活用」という活動方針は、建物の改修や利活用だけで完結するものではありません。
その一歩手前にある“整理”の段階から支える視点が不可欠です。

生前整理は“空き家予防策”になる

生前整理には、
・家財を減らし、相続後の負担を軽減する
・住まいの今後について家族と話し合う機会をつくる
・売却・賃貸・リフォームなどの判断を早める
という効果があります。

これは、空き家が発生してから対応するのではなく、発生を未然に防ぐ取り組みとも言えます。
空き家再生協会が目指す「持続可能な住まいの循環」は、再生だけでなく、予防の視点を含んでこそ実現します。

「片付け」を社会の仕組みに組み込む

空き家問題は、不動産・福祉・相続・地域コミュニティなど、複数の領域が交差する社会課題です。

遺品整理・生前整理を個人任せにするのではなく、専門事業者や行政、地域団体が連携し、支える仕組みを整えること。
それは、空き家再生協会が目指す「空き家を地域資源へと転換する社会」の実現にもつながります。
“片付け”は小さな行為に見えて、住まいの未来を決める大きな起点です。

空き家再生の取り組みは、建物の再生だけでなく、その前段階にある「整理」から始まっています。

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