近年、売却も賃貸も難しく、維持費だけがかかり続ける不動産が増えています。
こうした物件は「負動産」と呼ばれ、資産として期待されていた不動産が、所有者にとって負担になってしまうケースが目立つようになりました。
本来、不動産は「持っていれば価値がある」と捉えられがちでした。
しかし現在は、立地や需要によっては、所有しているだけで税金や管理の負担が積み重なり、手放すことも難しいという現実があります。
なぜ不動産は“負担”になってしまうのか
負動産が生まれる背景には、日本社会が抱える構造的な変化が関係しています。
日本の人口は2008年頃を境に減少へ転じ、特に地方では若い世代の都市部流出が続いています。人口が減れば住宅需要も縮小し、結果として買い手・借り手が見つからない物件が増えるのは自然な流れと言えます。
一方で、都市部では人口集中が続き、不動産市場は一定の活況を保っています。
このような地域差が広がることで、地方では価格を下げても取引が成立しにくい状況が生まれています。
さらに、駅から遠い、周辺に生活利便施設が少ない、道路が狭く車の出入りが難しいなど、立地条件が不利な物件ほど需要が生まれにくくなります。地域によっては「無償でも引き取り手がない」と言われる土地があるのも事実です。
こうした状況が続くと、空き家の増加が地域の地価下落を招き、周辺環境の悪化や地域経済の停滞へつながるなど、悪循環を引き起こす可能性も指摘されています。
老朽化が進むと選択肢が狭まりやすい
築年数の経過した住宅は、負動産化のリスクが高まりやすい傾向があります。
日本では新築志向が根強く、築30年を超える中古住宅は市場評価が大きく下がることも少なくありません。老朽化が進んだ建物は、安全性や衛生面への不安から敬遠され、売却や賃貸が難しくなります。
では解体して更地にすれば良いかというと、そこにも壁があります。
住宅が建っている土地には固定資産税の軽減措置がありますが、建物を取り壊すことで特例が外れ、税負担が増える可能性があります。
また、解体費用も年々上昇傾向にあり、アスベスト対策などの規制対応が必要になるケースもあります。
「解体しても売れるとは限らない」という不安から、手を付けられず放置される空き家が生まれてしまうこともあります。
しかし、空き家の放置は景観の悪化だけでなく、防犯面の不安、害虫・害獣の発生など、近隣環境に影響を及ぼすことがあります。場合によっては、周辺住民とのトラブルや行政指導につながることもあり、放置が長引くほどリスクは大きくなります。
個人だけでは判断しづらい理由
負動産を抱える所有者の多くが、「何から始めれば良いかわからない」という状態になりがちです。
総務省の調査によると、2023年時点で全国の空き家は約900万戸、住宅全体の約13.8%を占めています。空き家の増加は過去最多であり、問題が拡大していることが分かります。
売却を検討しても買い手が見つからない、管理を続ける余裕がない、解体すると費用や税負担が増える――。
こうした複数の課題が重なることで、結果として「動けないまま時間だけが過ぎてしまう」ケースが少なくありません。
また、実家や先祖代々の土地の場合、経済合理性だけで判断できない事情もあります。相続人が複数いる場合は合意形成が必要になり、さらに判断が難しくなります。
遠方に住んでいる所有者にとっては、見回りや草刈りなどの管理も大きな負担です。管理を委託すれば費用が発生し、放置すれば劣化が進むという悩みを抱える方も多くいます。
負動産の問題は、維持費が積み重なるだけでなく、倒壊リスクや行政対応につながる可能性もあります。だからこそ、早めに情報を整理し、相談できる体制を整えることが重要です。
悩んだときは早めの相談が解決につながります
負動産や空き家の課題は、単に「売る・解体する」だけでは解決できないこともあります。
物件の状況によっては、賃貸活用、管理方法の見直し、相続整理、制度の活用など、検討できる選択肢が複数存在します。
空き家再生協会では、空き家・負動産に関する悩みを抱える方が、状況に応じた選択肢を整理し、適切な判断ができるよう支援しています。
「売れない」「どうすればいいかわからない」と感じた段階で、一度立ち止まり、現状を整理することから始めてみてください。
早めの行動が、将来的な負担やリスクを抑えることにもつながります。


